SSブログ

「またか…」「なぜ」・・三菱自の不正問題 [自動車]

スポンサードリンク




1043680.jpg
http://img.response.jp/imgs/thumb_h2/1043680.jpg

三菱自動車は、リコール隠しなど企業体質を問われる不祥事が相次いでから、ブランドの立て直しに邁進してきました。
13年、リチウムイオンバッテリーの不具合が発覚した新型プラグインハイブリッド車「アウトランダーPHEV」のリコール(回収・無償修理)問題で、同社は報道陣に工場見学の機会を設け、不具合を生じた経緯の説明と、その後の改善対応を丁寧に説明するなど、情報開示に努める姿が印象に残っています。
また、昨年は、小型SUV(スポーツ用多目的車)の次期モデルについて、目標とする性能が達成できていないとして発売を延期するとの発表も行っていました。経営的には大きな打撃であったはずですが、果断に決意しました。

最近は、そうした真摯な対応が目立っていたにもかかわらず、なぜ、今回のような不正が行われてしまったのでしょうか。
不正の対象となった軽自動車は、11年に設立された三菱と日産自動車の合弁会社「NMKV(日産・三菱・軽・ヴィークル)」で企画・開発されました。実際の車両開発作業や生産は三菱が請け負っていますが、商品性や目標性能は両社の合意によって設定されてきたはずでした。その際、燃費性能の設定に無理はなかったのでしょうか?

軽自動車の分野では、11年にダイハツの「ミライース」が1リットル当たり30キロ・メートルの燃費性能を実現してから、“燃費競争”の様相を呈している。それまでも、アイドリングストップ機構を装備した軽自動車で27キロ・メートル相当の燃費を達成した車種は一部ありました。しかし、多くは20キロ・メートル台半ばの数値であったから、ミライースは一気に20%ほどの燃費向上を果たしたことになります。
その後、リチウムイオンバッテリーを採用した新しいエネルギー回生システム「エネチャージ」を独自開発したスズキは、今日、アルトで1リットル当たり37キロ・メートルの燃費性能を実現するまでになります。このスズキの方式については、高価なリチウムイオンバッテリーを、価格競争の厳しい軽自動車で採用する英断が下されました。同様のシステムは、まだ他の軽自動車メーカーでは採用されていません。

リチウムイオンバッテリーの採用について、スズキの技術本部長は取材に対し、「確かにコストはかかりますが、その分は車両全体(のコストダウン)で対応している」と答えました。ちなみに、他社の役員の一人は、「うちはスズキさんのようにリチウムイオンバッテリー分のコストを飲み込める体質にない」と語っています。それほど、ガソリンエンジンのみで30キロ・メートル台の燃費性能を出すのは厳しいことなのです。
そんな軽自動車の燃費競争がたけなわの13年6月に発売されたのが、三菱の3代目「eKワゴン」と、日産「デイズ」でした。この二つはNMKV社が開発した最初の軽自動車であり、軽ハイトワゴン(通常のワゴンタイプに比べ背が高く、室内が広い軽乗用車)ではナンバーワンの低燃費を売りの一つとしていました。

eKワゴンとデイズの新車発表会では不自然なことがありました。
三菱と日産の合弁会社による商品第1弾であるはずなのに、同日でありながら別々に発表会が催されたのです。もちろん、商品性はそれぞれ別の特徴が与えられているだろう。だが、軽自動車業界としては画期的なジョイントベンチャーと銘打って始めた取り組みなのだから、その船出となる商品第1弾の発表の場では、たとえば三菱の益子修社長と日産の志賀俊之・最高執行責任者(いずれも当時)が、がっちり握手をするような場面を報道陣に示してもよかったのではないでしょうか。発表会開催の仕方からNMKVでは、本当に三菱と日産が歩調を合わせて事業を進められたのか違和感がもたれました。
そのような裏事情があったからこそ、この二つの新車は、両社の合意が十分に得られぬまま、燃費の目標数値が先走り、データの不正だけでなく、動力性能においても不十分なまま市場導入されたのではないかと推測されるのです。

日産デイズの発表会場で、志賀氏は「三菱と日産の英知を結集し、NMKVの立ち上げから2年で成果を出せた」と挨拶しました。ですがわずか2年で、歴史ある二つの自動車メーカーが、商品性と性能の両面で互いの要求を突き合わせ、合意し、車両の試作から量産へ持ち込むことができるものでしょうか?
つまり、今回の不正の遠因は、企業風土の異なる自動車メーカーが短期間に成果を出そうとした点=「拙速さ」にあるのではないかということです。

三菱の相川哲郎社長は、初代eKワゴンのプロジェクトリーダーだった技術者でした。そして、この一風変わったeKワゴンという車名は、「いい軽」を作ろうという志の表れでした。
実際、初代eKワゴンは、「いい軽自動車」でした。技術者・相川氏の技術に対する真摯な姿勢は今日も変わらないと信じます。実際、次期小型SUVの発売が延期となったことを心から残念がり、「必ずいいクルマを出します」と発言しました。
今回、記者会見で深々と頭を下げ、しばらく身じろぎもしなかった相川社長の姿に、無念さが現れていました。


スポンサードリンク






nice!(0)  コメント(0)  トラックバック(0) 
共通テーマ:自動車

nice! 0

コメント 0

コメントを書く

お名前:
URL:
コメント:
画像認証:
下の画像に表示されている文字を入力してください。

※ブログオーナーが承認したコメントのみ表示されます。

トラックバック 0

トラックバックの受付は締め切りました

この広告は前回の更新から一定期間経過したブログに表示されています。更新すると自動で解除されます。